第4章 最後の希望 (閑話)
僕は貴族として従順に生きるのをやめた。
そして、どうにかしてあの本で見た"海"というものを見てみたかった。
その為には僕はまず、調査兵団に入団する事が必要だと思い、入団を希望した。
だが、結果から言うと、門前払いだった……。
貴族出身というだけで周りからは異質な目線を向けられ、教官からは今まで1番安全な場所で平和ボケして生きてきた奴に巨人の相手など相当務まるものかと馬鹿にされた。
家柄じゃなく、実力だけでも試してみてほしい、と懇願して立体機動のテストを受けた。
しかし、結果は不合格だった。
僕には兵士としての最低基準の才能すら無かったのだ。
僕は途方に暮れた。
公式な手段で壁の外を見る事も出来ないなんて……、
「くそっ……!」
家に帰ると、父さんからお叱りの言葉を受けた。
「ロドリー、お前は一体何を考えているんだ……っ⁈兵団の教官殿からお前が兵士の入団を志願していたと連絡が来たぞ……!」
父さんは顔を真っ赤にして激怒していた。
「変な行動は慎め……!第一、お前が居なくなってしまったらこの家はどうなるんだッ⁈お前の血筋が途絶えたら、ガナード家は無も同然だ!!フェリアの想いはどうなる……ッ⁈」
「……、分かってるよそんなの……っ」
「ロドリーッ!話は終わってないぞッ……!!」
僕はそれ以外父さんの言葉を聞きたくなくて、自分の部屋に閉じこもった。
僕には兵士としての才能すらない、兵士になれないなら、どうすれば壁の外へ行けるのか……、
その瞬間、僕には幼少期特有のあの探求心が芽生えた。
そうだ、堂々と門から出る事が出来ないならこっそり抜け出せばいいじゃないか……!
そう……、僕は余りにも壁の外に対して無知で、愚かだった。
奴らを見るまでは母のあの話などすっかり忘れていたのであった……。