第4章 最後の希望 (閑話)
「まさか、こんな所に人ひとり通れる程の穴があったなんて……」
人気のない場所にこんな穴が……、
正直、ラッキーだと思った。
何処かの壁に人ひとり通れるくらいの穴があったら、と気楽な気持ちで探していたら本当に見つけてしまったのだ。
此処を通ったらどんな景色が待ち望んでいるのだろうか?
そんな期待を胸に僕は壁の穴を通り抜けた。
すると、そこにあったのは何処までも広がっている緑の草原だった。
遠くの方には木々が生い茂っているのも見える。
海は……、見えないなぁ……。
「林の向こうまでもっと行かないと海は見えないのかなぁ……?」
そんな事を呟いていると、急に自分の周りが暗くなった事に気付いた。
「……?」
もうそんな時間になったか?
いや、そんな筈はない……。
詳しい時間は見てなかったけど、今は午前中の筈だ。
空は……、空……、は……?
見上げた空に浮かぶその巨大な顔は僕の事を無垢な目で見つめていた。
「何……だ……コイツ……」
その時僕は思い出した……、母さんの言葉を。
"壁の外には恐ろしい悪魔がいるもの……"
これが……、コイツが母さんの言っていた悪魔……?
だとしたら、だとすれば、僕はこの後どうなる……?
僕は考える間も無く、その悪魔の大きな手で体を捕まえられた。
それは、加減を知らない巨大な赤ちゃんのように、僕の体を握り潰そうとしていた。
「ぐあああ"ッ……!!」
その時、向こう側から沢山の馬の足音が聞こえた。
「前方、巨人を確認……!生存者が捕らえられているようです……っ!」
「攻撃班!ハンジ、お前は生存者を助けろ……!ミケ、お前は巨人の頸を狙『私が行く』おいッ……、リヴァイ!勝手な行動は……っ」
リヴァイは馬から離脱し、壁にアンカーを刺し、ロドリーを掴んでいる指を全て切り落とす。
「うわああぁっ……!!」
落ちるロドリーを無事受け止めたミケがリヴァイを見上げると、既に巨人を仕留めた後だった。