第4章 最後の希望 (閑話)
「あ、えっとガナード卿……、その」
「あちらは若い者同士に任せましょう!私達は此方で……」
「(若い者同士って……、一体リヴァイを何歳だと思ってるんだ……?)」
「……、」
エルヴィンはリヴァイとロドリーの消えた方向を静かに見ていた。
「こっち、こっち!」
されるがままに連れていかれた場所は "VIP ROOM"と記載された個室だった。
「まさか君がタキシードで来るとは思わなかったけど納得だよ。それに似合ってる!」
『……、』
見渡すとどれも高そうな装飾だ。
「どうぞ、此処に座って?」
ロドリーに促されるままソファに座ると向かい側にロドリーが座った。
「こういう所に来るのは初めてかな……?」
『あぁ……、私が地下街出身だという事はテメェはもう知ってるんだろ……?』
「いいね、その飾らない感じ!うん、知ってるよ。調査兵団での活躍の事も」
『そうか……、それにしてもテメェが寄越した文面ではもっともの堅そうなイメージの奴だったがな。そっちの方が素か』
リヴァイがそう言うとロドリーは困ったように顎を指でかいた。
「嫌だったかい……?手紙ではちゃんとした方がいいと思ってね……。だって第一印象は大事、だろ……?」
『……、』
「まぁ、でもそれも無駄に終わってしまったみたいだけど……」
ロドリーはテーブル上のベルを鳴らす。
「例のやつを」
「畏まりました」
しばらくして使用人が持ってきたのはグラスにオレンジ色の液体が注がれた飲み物だった。
『何だこれは……、オレンジジュースか?おい、ロドリーテメェ……、私はガキじゃねぇぞ……』
「違う違うっ!これは"スクリュードライバー"って言ってちゃんとしたお酒だよ。オレンジジュースも入ってるけど……。カクテルの中でもアルコール度数は低めだから君でも飲みやすいと思うよ」
『そ、そうか……』
酒なんて好き好んで飲まねぇから知らなかった……。
私には美味い紅茶があればそれで十分だからな。