第4章 最後の希望 (閑話)
エルヴィンはなんとも言えない不敵な笑みを浮かべる。
『……、そうかよ』
お前がそこまで人類に対し抱くものは一体何なんだ。
何を糧にしてそこまでの価値を見出す事が出来る。
『エルヴィン、お前は何故そこまで人類の繁栄に執着する……。お前がそこまで人類に対して擁護する糧は何だ……?』
エルヴィンは歩きながらリヴァイに一瞬目線を向けた後、目線を前に戻し、俯き加減で話し始めた。
『……、私の父は教師だった。そしてその父はとある理由で殺された。幼い頃の私は無知だった。子供特有の探究心で、ある日授業で父へとある疑問を投げ掛けた。その時、父は何も語ってはくれなかったが、家に帰ると私を椅子に座らせその問いに対する答えを話してくれた。私は愚かにもその話を周りの友人に話してしまったんだ。そしてその翌朝……、私の父は不慮の事故で亡くなった。』
エルヴィンは自分の右手をじっと見つめてから不敵な笑みを浮かべる。
『だが、そのお陰で私は重大なヒントを得る事が出来た。その仮説があっていれば、私は重大な秘密の糸口を掴んだ事になるだろう……』
エルヴィンは立ち止まり、リヴァイの肩に手を置き、目線を合わせる。
『私は父の死を無駄にはしない……。君にはまだ全てを話せないが、君を1番に信頼している。戦力としても、勿論人間としても。そしてそれを成す為にはリヴァイ、君の存在が必要だ』
そう言うとエルヴィンは自分の部屋へと戻って行った。
『……、』
やはり、あの男の目には大きな何かが見えている。
目先の事ではなく、遥か向こうの先の事が……。
私にはアイツの話は理解出来なかった。
だが、何か大きなものを見据えている事だけは分かった。
私はあの時コイツに着いて行く決断をして正解だったな。
「よし、エルヴィン。今日はパーティでの礼儀や作法をリヴァイに叩き込んでやれ!」
『あ"……?』
「分かりました、私にお任せ下さい」
『はぁ"……っ⁈』
こうしてリヴァイにとって地獄の6日間が始まったのであった。