第4章 最後の希望 (閑話)
その時、部屋のドアがバンッ!と大きな音を立てて勢いよく開かれる。
「キース団長、申し訳ございませんが……、その話私は飲めません!」
そう言って部屋に入ってきたのはエルヴィンだった。
「エルヴィン……。しかしだな、選ぶのはお前じゃない。リヴァイだ……。だから「キース団長……!リヴァイは我々調査兵団にとって、いや、我々人類にとっての希望です……!彼女を手放す事は人類の滅亡に繋がると言っても過言ではないでしょう……!そんな彼女をみすみす貴族に手放すような事をするのであれば、私はキース団長、貴方を人類の敵だと見なしましょう!!私は何よりも人類の存続を願っている。その為ならば何でも成す所存です……!貴方をこの場で殺す事もッ……!!私はとうに人類に心臓を捧げた兵士……!」
エルヴィンは見事な心臓を捧げる敬礼をする。
「キース団長……!貴方には最善の選択肢を選んで頂きたい……ッ!!」
私はそんなエルヴィンに圧倒されていた。
私の身を案じるわけでは無く、只々、自分の命を投げ打ってでも人類の未来の為を思う、全てを見据えた眼差しに。
圧倒されていた……。
「はぁ……、エルヴィン、お前が反対する事は分かっていた。勿論、リヴァイが呑まない事もな……、」
キースはため息を1つつくと、リヴァイからその手紙を取り返す。
「この手紙の返答は私が書いておく、勿論、縁談の話だ……。だが、パーティには出席してもらう事になる。その時は、なるべくロドリー氏の気に障らない言葉を選べ。特にリヴァイの言葉は乱暴だからな……」
『チッ……、少しは考えといてやる』
「話は済んだ、後は戻っていい……」
「はっ……!」
キースの部屋を後にする。
同時に部屋を出たエルヴィンと廊下で2人きりになり、気まずい雰囲気が漂う。
「……、君は、あの話を呑んで貴族に添い遂げる人生の方が良かったか?」
『そんな訳ねぇに決まってるだろうが』
「そうか……、ならば良かった。いや、すまない。私は君がもし今の問いに対してイエスと答えていてもそうしていただろう」