第3章 悔いなき選択 (後編)
ファーランの返答を聞くと、リヴァイは馬の走る速度を更に加速させる。
後ろを振り返るとイザベルが笑顔で手を振っていた。
あぁ、私はお前のその穢れのない笑顔を守ってみせる。
そして、私達3人で幸せになれる為の自由を手に入れてやる……!
イザベル……、ファーラン……。
その姿を確認したリヴァイは振り返るのを辞め、前のみを見て、エルヴィンの居る所まで馬を走らせる事に集中した。
イザベル、ファーラン、お前達の為に私は絶対にこの仕事をやり遂げ、居住権を持ち帰るッ…………!!
『(待っていろ……、エルヴィン・スミス……!私がこの手で……、殺してやるッ!!)』
しばらく全速力で馬を走らせていたが、エルヴィンどころか誰にも会わず、遂には崖に突き当たってしまった。
『……ッ!』
馬の手綱を引っ張り、危機一髪のところでリヴァイは崖から転落する事を免れた。
そして停止したリヴァイの目に映ったのは、とても悲惨な光景だった。
崖の向こうには先程まで生きていたであろう兵士達の無残な姿があった。
夥しい程の真っ赤な血、
その辺に散らばる手や足といった部位、
原型を留めていない肉片、
そして身につけていた剣や立体起動装置。
どれもリヴァイの想像を絶する景色だった。
一体、どうなっていやがる……、
『……、何だ?何が、あった…………?』
その時、近くで信号弾を撃つような音が聞こえた。
その音の元に視線を向けると、そこには瀕死の状態の兵士が最後の力を絞って黒い煙の信号弾を打ち上げていた。
「きこ……、しゅ……」
それだけを言うと最後の力を使い切ったのか、その兵士は力尽きてしまった。
この兵士の撃った方向……!!
辺りの地面には自分が来た方向とは真逆に向かった巨人の足跡が付いていた。
『……ッ⁈まさか、すれ違ったのか……ッ!!』