第3章 悔いなき選択 (後編)
その先を見上げると、先程まで雲に隠れて見えなかった月が、雲が明けた事によって顔を出していた。
「月だ……。こんなに明るい!」
地上に見える月というものはこんなにも神々しく、美しく、そして優しい光を放つものだったのか……。
「なっ!違うだろ?」
「そうさ、此処は地下じゃないんだ!」
3人で静かに優しい光を放つ月を見上げる。
「もう絶対地下には戻らない」
「そうだよ、兄貴。いつでも3人で乗り切ったろ……?巨人だって同じだ!一緒にやろうぜ」
「リヴァイ……、"俺達を信じてくれ"」
『……っ⁈』
"俺達を信じてくれ"
その言葉は私の胸に深く突き刺さった。
私は自分の勘と不安から、今まで共に乗り越えてきた仲間を信じずに1人でこの仕事を終わらせようとしていた。
その方が安全でコイツらの為にもなると思って……。
だがそれは違った。
それはただの私のエゴであって、コイツらが望んでいる事ではない。
そして、それは仲間のコイツらを信じられないという裏切り行為にもなり得る。
私はファーランとイザベルを何よりも信頼している。
コイツらもきっと私と同じ気持ちでいるだろう。
そんな2人を信じられないとなれば、私達が今まで築いてきたものとは何なのだろうか?
『……、分かった。信じよう』
「いやぁったぁぁああっ!!」
「フッ……、」
「ほんっと、兄貴は頑固だなぁっ!」
イザベルが笑い、ファーランも続けて笑う。
そんな2人につられて、いつも表情の固いリヴァイも微笑んでいた。