第3章 悔いなき選択 (後編)
そして、巨人を討伐する為の訓練が始まった。
これは訓練の為というよりも、私達の実力を試したいという狙いのが本質なのだろう。
改めて渡された立体起動装置を身につけ、剣を引き抜く。
私は上官達に教えられた通りではなく、右手の剣はナイフを構える時の様に逆手に持つ。
その方が肩や腕に掛かる負担を軽減出来て、尚且つ回転をかけた斬りがしやすいからだ。
「貴様、何だその持ち方は……。その剣はそういう持ち方を想定して作られていない。壁外で真っ先に死にたいのか……!」
『テメェならそうなるかもな』
「な……っ、何だと……っ⁈」
自分のやり方で上手く扱えるなら持ち方なんざ何だっていいだろ。
『要は巨人の頸が削げりゃいいんだろうが。私は好きにさせてもらう』
「ぐっ……!」
リヴァイは立体起動装置のトリガーを引き、ガスを噴射させると可憐に木々の間を潜り抜けていく。
しばらく飛び続けると、急に右側から巨人の模型が飛び出してきた。
『……!』
リヴァイは右のアンカーを軸に右回りで巨人の模型の間合いに入るとその模型を蹴り、上の木の枝に留まる。
そして、体勢を整えなおし、右手の剣を逆手に持ち変える。
『うおおぉッ……!!』
勢いをつけ、左回転で模型の頸部分を削ぐ。
リヴァイのその一撃は見事に頸を捉え、深く削ぐ事が出来ていた。
「何なんだ……、今の速さ……」
想像を遥かに超えた立体起動装置の扱いの上手さに先輩達は唖然とすることしか出来なかった。
一方、見事な技術を披露したリヴァイはというと、少し不安を感じていた。
これは訓練で動かない模型だから確実に頸を削ぐ事が出来たが、これがもし、本物の巨人だったら本当にこんな簡単に頸を削げるのだろうか……?
私は本物の巨人にあった事がないから、奴らがどんな動きをして、奴らにどんな習性があるのか何も分からない。
これから私達も"壁外調査"とやらに出撃しなければならない時がくるだろう。
私は兎も角、アイツら2人……。
ファーランとイザベルの事が心配だ。