第3章 悔いなき選択 (後編)
これが……、清潔?
これの何処が清潔だと言うんだ?
全く掃除が行き届いてねぇだろうが……ッ!
「なっ、何だその目は……。貴様、上官に向かってそんな態度をとって……!」
「あっ、あぁっと!すいません、了解です!清潔に、使います!」
そんなリヴァイの態度に危機感を覚えたファーランがすぐ様フォローに入り、フラゴンに敬意を示す。
「チッ……、明日から早速訓練だ。いいな!」
3人に向かってそう言うと、フラゴンはドアへと向かっていく。
「敬礼の手の甲は下だッ!!」
最後にそう言い残すと去って行った。
「リヴァイ、下手に逆らうなよ!それでなくても目を付けられているのに……」
『お前には、糞が糞を汚ねぇって言ってる様には聞こえなかったのか?』
先程汚れた手を拭きながら淡々と答えるリヴァイにファーランは呆れた。
「お前なぁ、俺達はたまたま捕まった訳じゃないぞ。……リヴァイ、此処へ来た目的、忘れた訳じゃないだろ?」
『あぁ……、分かってる』
"調査兵団は必ずお前達に接触してくるだろう……。多少の抵抗は忘れるな。やってもらう事は……、2つ"
あぁ、そうだ。
その目的さえ達成出来れば私達は晴れてこの地上で暮らすことが出来る。
"やってもらう事は2つ……。エルヴィン・スミスの持っている、ある資料の入手、そして調査兵団分隊長…………、
エルヴィン・スミスを殺す事がお前達の仕事だ"
兵舎を出て外を歩いていると、向こうからエルヴィン・スミスが此方へと歩いてくる姿が見えた。
エルヴィンもリヴァイの姿を視界に捉え、口を結ぶ。
そして、2人はすれ違う。
コイツは……、私が殺す……ッ!!
リヴァイは立ち止まると後ろを振り返り、強い眼光でエルヴィンの後ろ姿を目に焼き付けていた。