第2章 悔いなき選択 (前編)
リヴァイ達は男性の後ろをついて歩き、11号階段を上っていく。
しばらくすると、地上の太陽の日差しが差し込んでくる。
初めて見上げる太陽の光の眩しさに目を細めていると、その先には一台の馬車が停まっていた。
「そいつらか……。」
「はい、腕は確かだと」
コイツらは"善"か"悪"かで答えたら迷わず"悪"だと答えられるような奴らだろうな。
『何だ、テメェは』
「警戒するのも分かるが、私を信用してもらっていい。」
「ハッ……、どうやって?」
「こうして私が直接会ったことが全てだ。相当のリスクを私も背負っている……。前金は受け取ったか?」
『地上じゃ知らないが、私達の世界では人質って言うんだがな』
「……、成功報酬がそれなりの事であることの証だ。いいかね、仕事に成功した場合、お前達が受け取るのは莫大な金だけではない。地上の……、"居住権"だ」
そいつのその言葉に私達の思いは直結した。
私達は何故こんな生活を強いられている……?
こんな場所で生きている意味はあるのか……?
もし、本当にこの地下街から出て堂々と地上で暮らせる権利が得られるのならば、私達はその為にこの仕事を最後にして果たさなければならない。
あの日イザベルが言っていたように、私達が鳥になる事が出来るのならば、この仕事を受けない意味はない。
もしも、地上へと羽ばたいていったあの小鳥のように自由になれるなら。
私達はこの仕事1つに最後の希望を託した。
「リヴァイ、準備できたぜ」
私達は立体起動装置をつけ、仕事の準備に取り掛かる。
まずは、ヤンが連れていかれたらしい病院へ行ってアイツらの言ってる事が嘘かどうか確かめる必要がある。