第2章 つまさき立ちの恋【跡部景吾】
もういい、このまま流されてしまおう…。
彼の恋人に対する罪悪感が無い訳では無い。けれど、他人の物になってしまった彼…でも触れられるとどうしようもなく嬉しく目頭が熱くなった。
自然と浮かんでくる涙は口付けの息苦しさからか、嬉しさか…はたまた自分への憎悪か。
分からないままに、口付けを受け入れた。情熱的で、何処か虚しさの残る狂おしい迄の激しい口付け。
口付けの最中、彼の左手が私の右胸に触れる。
ドキン、と大きく鼓動が跳ねた。鷲掴みにする様に胸を揉まれ、ピリッとする痛みと共に胸がきゅんと締め付けられる様な僅かな快感に体を震わせた。
跡部「…脱げよ」
名前「……っ」
漸く唇が離れ、私は漸く彼の声を聞く事が出来た。しかしそれは雪や氷よりも冷たく、どんな沸騰した湯よりも熱のこもった声だった。
その声に促されるままに、私は震える手でブレザーを脱いでブラウスを脱ぎ捨てた。
跡部「……潔い女は嫌いじゃないぜ?」
彼は一瞬の間を置いてから、胸元を覆う下着へと手を掛けた。下着をずらされ、今まで誰にも見せた事の無い膨らみが露になる。