第2章 つまさき立ちの恋【跡部景吾】
そのまま手を引かれてしまい、体勢を崩した私は事もあろうに彼を…ソファーへ押し倒す様に倒れ込んでしまった。
名前「……っ…ご、ごめ…っ」
跡部「なるほどな…っ」
彼が何かを勘違いした事は、気付いてた。
ゆっくりと近付いてくる彼の顔に、ただ見惚れて目が離せなくなる。段々と距離が詰められて、その僅かな距離が…0になる。
唇が重なり、彼の舌が唇を割る様に口内へと潜り込んで来ても…嫌じゃなかった。これが夢ならば覚めないで欲しい、そんな浅ましい事さえも…私は願ってしまう。
名前「あ…とべ…く……んぅ…っ」
何とか言葉を紡ぐも更に激しさを増す口付けに、私は翻弄されて何も考えられなくなる。
彼の唾液が、まるで媚薬の様に口内の熱を上げて思考回路を麻痺させる。喉奥に流れ込んで来る唾液を飲み下し、歯を舌を上顎を擽り犯し続ける彼の舌に自ら舌を絡ませた。
まるでビッチだ。きっと彼の目には、そう見えている事だろう。
ああ、私が彼とこういう事をする為に一芝居打った…そう、彼は勘違いしたに違いない。