第4章 普段怒らない奴は怒るとメッチャ怖い
すると突然土方が無線に向かって叫んだ。何かあったようだ。夜荘と近藤は沖田に遅れて土方の近くに駆け寄った
男{{やはりスパイが入っていたか
…そこに誰がいる、鬼の副長}}
攘夷浪士と思われる男の声が無線から聞こえる。とっさに夜荘は土方から無線を奪い取る
貴「局長、副長、それに一番隊から三番隊…そして、局長補佐の俺だけだ。そのスパイを解放して欲しい
要件はなんだ」
男{{…ほぉ、補佐殿がいるとは驚きだな}}
男はケタケタと笑う。無線の奥からも笑い声が聞こえるので、他にもいるなと夜荘は再確認した
貴「…要件が複数個あるのであれば、そちらの人質約20人と引き換えに叶えてやれることもない」
「「「っ?!!」」」
{{そこまで伝わっているのか}}と男は驚きを隠せない様子だ。夜荘は「俺の勘だ」と即答する
貴「ここで引き下がろうとは思うなよ?お前らのスパイももう予想はついている」
彼はチラリと隊員の方を見る。そして紙とペンで『静かに戦闘準備開始』『俺はもう少し交渉を続ける』と近藤に手渡した。彼は頷き隊員たちに指示する
貴「それで?要件は?」
男{{武器を要求する。先に渡せ}}
貴「先にスパイを解放してもらおう。俺を見くびるな。お前らのような雑魚でも俺が誰だか、どれほどの力を持ってるか…知ってるだろう?」
男{{…ハッ、聞いて驚くな、補佐殿よ?俺は桂k}}
貴「ふざけんのも大概にしろッッ!!!テメェみたいな雑魚が、桂の真似するんじゃねぇよッ!!」
突然の怒号。彼は普段怒ることはあるが、怒号を放つことはない。隊員の手が止まり、驚いている
貴「…交渉決裂だ」
彼の言葉が静かに響いた。無線がミシッと音を鳴らす。相当怒ってやすねィ、と沖田は眉を顰めた
貴「今からお前らの命はないと思え」
彼の青い眼は、殺気を放っていた