第3章 モテる奴にはファンクラブがつきもの
10:00頃、夜荘を除く隊員全員で稽古。彼は事務仕事をしてからの参加
今日、土方は自分に苛立っていた。なぜ彼に追いつけないのか、そんな弱い自分にムカついていた
近「精を出しているな、トシ!」
土「近藤さん…」
「どうした?元気がないな」と近藤は気づき、首を傾げる。土方は夜荘に追いつけない自分に苛立ちを覚えている、と言うと近藤が豪快に笑った
近「何言ってんだ、トシ!お前は十分に強いじゃないか。夜荘だってお前の事一目置いてるぞ」
土「あいつが?」
「お〜、みんなやってるな」
突然低い声が響く。そこには袴姿の夜荘が立っていた。すると近藤が土方との試合を提案した
夜荘は少し迷ったが承諾し、竹刀を手に取った。片手で2、3回振り、彼は竹刀を土方に向ける
貴「さてと、やるか」
土「おう」
貴「なんか嬉しそうだな
…俺と試合したかったらいつでも言えよ?」
隊員の1人が審判をつとめる。隊員が「始めッ」と合図すると真っ先に動いたのは土方
だが夜荘も負けてはいない。それに素早く反応し、華麗に避けて、土方と間を取る
貴「相変わらず早ぇな」
土「余裕ぶっこきやがって」
土方は次々と攻撃するが、夜荘はヒラリヒラリと軽く避けていく。…土方の目が変わった
ビュンビュンと空気を斬りながら攻撃を加えていく。流石にかわしきれなくなり、夜荘は竹刀で攻撃を受け止める
貴「…ハハッ、いいねぇ!
ちゃんと受け止めろよ、土方ァ!!」
彼はニタリと笑い、土方に初めて攻撃を加えた。空気が揺れる。土方は顔を顰めながらも竹刀で受け止める。だが、ミシミシと竹刀が軋み、土方はそれに恐怖を覚えた
一旦夜荘が竹刀を引っ込める
貴「強くなったね(^^)」
土「その笑み怖ぇよ」
彼は引きつった笑みを浮かべた。試合は引き分けに終わり、土方は納得していなかった。だが、夜荘は彼を見てフッと微笑み、ポンポンと頭を叩く
貴「お前は俺よりもずっと強いところいっぱいあるから安心しろ」
土「…チッ」
するりと彼の頭から夜荘の手が離れて、ヒラヒラと手を振った。「俺戻るわ」といつもの調子で道場を出て行った