第10章 現れた幼馴染み
蓮「い、いや!それよか離してくれ!あたし自分で神殿まで行くんだ!!」
ト「蓮姉ちゃん、自力で行きたいんだって。オレも付いてるから大丈夫だよ」
ピ「そ、そうか…」
ピッコロの腕から離れ、再び神殿へと飛び出す。
またしても顔が強張り、時折フラついてしまう。
その後ろから着いて来るトランクスとピッコロが、何やら話している。
ピ「おいトランクス、蓮は何故あんな険しい顔で飛んでいるんだ?」
ト「気合じゃないの?集中してないと危ないみたいだよ」
ピ「そうか…まあ、やる気があるのは良い事だ。ちと危なっかしいがな」
クツクツと笑いながらあたしの後姿を追うピッコロがとても嬉しそうだった事も、前を飛んでいたあたしは知る由もない。
蓮「はぁっ…はぁ…つ、着いた~!!」
なんとか神殿へと辿り着いたあたしはその場に倒れ込んだ。
ト「蓮姉ちゃん、大丈夫?」
トランクスが駆け寄る。
蓮「大丈夫w けどずっと気ぃ張ってたから疲れた〜!!」
寝転がったまま笑顔でVサインを返す。
緊張状態が長く続いたため気疲れしてしまったのだ。
ピ「よく頑張ったな」
片膝をついて薄く笑顔を見せるピッコロ。
そんな表情を見るだけで胸の高鳴りが抑えられなくなる。
蓮「ピッコロ……」
(やっぱりあたし、ピッコロが好きだ…。でも、ピッコロに認められるくらい強くなれば…あたし、自信持って元の世界に帰れるよな……?)
蓮「ああ、頑張ったぜ!!」
ピ「!!」
ニカッと笑顔で返すと、ピッコロの顔が赤くなった。
ト「ピッコロさん、どうしたの?」
トランクスがピッコロの顔を覗き込む。
ピ「な、何でもない////!さっさと立て、休んでいる暇などないぞ!!修行を始める!!」
すぐに立ち上がり後ろを向いたピッコロ。
だが、耳の先の赤さが隠せていない。
ト「どうして急に怒っちゃったんだろ?」
蓮「さあ?」
(今顔が赤くなった?いや、そんなわけないか。ピッコロには恋愛感情なんかねーんだもんな……)
一瞬勘違いしそうになったが、そんな筈ないと自傷気味に笑う。
暫くすると悟天も到着し、あたしの修行が開始した。