第10章 現れた幼馴染み
蓮「トランクス、そろそろ行こう」
食後のコーヒーを飲み終え、あたしはトランクスに声を掛けた。
ト「え?昨日より早いよ?まだピッコロさんも来てないし」
キョトンとした顔で見上げるトランクス。
蓮「今日からは自分の力で神殿まで行ってみたいんだ。いつまでもピッコロに連れてってもらってちゃ成長出来ねぇだろ?」
ト「そっか!じゃあ危なくなったらオレが運んでやるよ!!」
蓮「ありがとう。その時は頼むわ♪」
ト「じゃあ、行って来るね!!」
ブ「気をつけてね?行ってらっしゃい♪」
ブルマさんに手を振られながら、あたしとトランクスは空へと飛び立った。
ト「蓮姉ちゃん、大丈夫?」
心配そうに声を掛けてくるトランクス。
そりゃあ心配にもなるか。
高度が上がるにつれ、あたしの顔は強張ってきた。
きっとあたしの顔は今凄い事になってるのだろう。
蓮「う、うん…大丈夫。……たぶん」(汗
(気を抜いたら落ちる……気を抜いたら落ちる……)
だいぶ飛ぶ事に慣れたとはいえ、初めての距離と高度を飛ぶのだ。
緊張でガチガチになってしまう。
その時…
ト「あ」
上を見上げて声を上げたトランクス。
蓮「ん?なんだ?」
強張った顔のままでトランクスの視線の先を見ると、キラリと何かが光った。
と同時に…
ピ「何をやっている!?」
目の前に突然現れた(ように見えた)ピッコロ。
蓮「おわっ!?」
驚いて思わずよろめいてしまったあたしの身体をピッコロが支えてくれた。
ピ「昨日飛べるようになったばかりだというのに、無茶をするな」
少し怒ったような声に、心配の色が混じっている。
蓮「いっ、今のはお前が急に現れたからビビっただけだ!!」
ト「スッゲー速さで飛んで来たもんな、ピッコロさん。そんなに蓮姉ちゃんが心配だったの?」
ピ「当たり前だろう!!まさか自分で飛んで来ているとは……」
見上げるあたしに気付いてピッコロは言葉を止める。
ピ「蓮…目元に線の様な痕があるが、どうかしたのか?」
メイクで隠しきれていない目元の痕に目敏く気付く。