第9章 気付いた想い
ブ「蓮ちゃん、こっちでコーヒーでも飲まない?」
夕食後、洗い物を終えた蓮にブルマが声を掛ける。
蓮「あ、すみません…今日は早めに休みます。少し疲れて……」
ブ「あら、そう。トランクスも寝ちゃったし、頑張ったものね。ゆっくりお休みなさい」
蓮「はい、おやすみなさい」
蓮は挨拶をし、部屋へと歩いていった。
ソファには残されたブルマとベジータが座っている。
ブ「蓮ちゃん何かあったのかしら?笑ってはいたけど、なんか無理してるみたい」
ベ「さぁな。元の世界の事でも思い出していたんじゃないのか?」
ゴロリとブルマの膝に頭を預けるベジータ。
二人きりの時だけはこうやって少し甘えることもある。
ブルマの膝はほど良い柔らかさで心地良い。
ブ「そうかしら……?何か悩んでるんじゃないかしら……」
ベジータの髪を撫でながら、心配そうに蓮の出て行ったドアを見つめるブルマだった。
…パタン
蓮「………ふぅ」
部屋に入るなり電気も点けず、ベッドに倒れ込んだ蓮。
「…………」
ポロッ…
蓮「ははっ…なんで涙が出てくんだよ……クソッ」
何故涙が出るのか、自分にもわからない。
わかるのは胸が締め付けられるように痛いという事と……ピッコロへの思いだけ。
(ヤベェ……)
ー 気付いてしまった ー
(あたし…)
ー 自分の思い ー
(ピッコロが好きだ)
本当は、元の世界に帰りたくなくなっている自分がいる事に蓮は気付いていた。
(けど、あっちの世界には迅達がいる。あいつらの元に帰りたい…その思いは変わらない。だけど……ピッコロと離れたくない)
蓮は枕をギュッと握り締める。
蓮「あたしってバカだな…あいつには恋愛感情なんかねーんだからこんな思い叶うわけねぇのにな。……けど」
(帰るまでの間……その間だけ、お前を好きでいてもいいか……?)
そのまま、気絶したように眠ってしまった蓮。
だが次の日の朝、予想外の事が起きる事を、蓮はこの時まだ知らなかった。
オマケ→