第3章 トリップ
〜 蓮side 〜
(ん……)
目を開けると、暗い空間にいた。
(…なんだ?此処は何処だ?)
横になっていた身体をゆっくり起こし立ち上がる。
ー 蓮… ー
蓮「誰だ?」
声が聞こえ振り返ると、一人の女が立っていた。
ー それは言えない…けどいつかわかるわ。それより、貴方に謝らなければいけない事があるの… ー
蓮「謝らなければいけない事?」
ー ええ…ごめんなさい。勝手に貴方をこの世界へ連れて来てしまって… ー
蓮「この世界?てか何処だ此処?あの世?」
ー 違うわ。此処は、貴方がいた世界とは別次元の世界…別の世界の地球よ ー
その言葉が理解出来ず、あたしは首を傾げた。
蓮「えっと…なんであたしを此処に連れてきたんですか?」
ー あの男…晋哉に殺されそうになった貴方を助けたかったの。だから本当はいけないのだけれど…貴方を向こうの世界からこっちの世界へ連れてきたの…… ー
『晋哉』
それは叔父の名前だった。
蓮「…なんで助けてくれたんですか?」
ー 貴方に生きて欲しいからよ。これから先何が起きても…貴方には…生きて…… ー
すると突然、その女の身体が光始めた。
ー どうやら…貴方が目覚めるみたいね… ー
蓮「目覚める?あたしは寝てんのか?」
ー ええ。私は今、貴方の頭の中に直接話し掛けている状態。貴方の目が覚めれば、私は消える…… ー
女はあたしの肩に手を掛けて言った。
ー いい、蓮?目が覚めたら、貴方の前には一人の男性がいる筈。その人は人間じゃない…けど、その人は貴方にとって…特別な存在になる。この世界で…貴方を幸せに導いてくれるわ… ー
蓮「幸せに…導く…?」
ー ええ。蓮…これから貴方には色々な事が起きるけど…何があっても、その人と…これから出会う仲間達と一緒に乗り越えて行くのよ…? ー
そこまで言った瞬間、女は強い光を身体から発した。
あたしは余りの眩しさに目を閉じた。
ー 頑張って蓮。私は…いつも貴方を見守っているわ…… ー
その言葉を最後に、あたしは本当の意味で目を覚ました。