第3章 トリップ
「ピッコロ、その女誰だ」
ピ「さぁな。突然光と共に現れた」
「ええっ!?不思議ですね……一体誰なんでしょう。あっ、この人包帯と絆創膏だらけじゃないですか!!すぐに中へ運びましょう!!」
ピ「ああ、そうだな」
「このカバン、女のものか?」
全身真っ黒の男が指差したのは、ボロボロのスクール鞄だった。
ピ「恐らくそうだろう…。この女とともに落ちてきたのかもしれん。持ってきてくれ」
「わかった」
「ピッコロさん、ポポさん、とりあえず客室に運びましょう。すぐに怪我を治します」
パタパタと神殿へ入っていく少年。
その後ろからピッコロとポポと呼ばれた男がついていく。
ピッコロは客間に入ると女をベッドに寝かせた。
女を降ろす時、腕から離すのが名残惜しく思った自分に再度困惑するピッコロ。
わけがわからず両手で頭を抱えたピッコロを少し首を傾げて見るミニチュアピッコロ。
「ピッコロさん?どうかしたんですか?」
ピ「あ、いや、なんでもない。デンデ、早く傷を治してやってくれ」
デ「はいっ」
このミニチュアのピッコロはデンデという名前らしい。
デンデは女の包帯を外し絆創膏を剥がした。
するとまだ傷が出来て日が経ってないのか、線の引かれた様な切り傷や殴られた様な痣がとても痛々しい。
デ「酷い…」
デンデが女に手をかざして集中する。
すると、じんわりと手の平から出たオーラのようなものが全身を包みこんだ。
不思議な事にみるみるうちに傷たちは消え去っていった。
デ「これで大丈夫です。見たところ気を失ってるだけみたいですね…目を覚ましたら話を聞いてみる事にしましょう」
ピッコロを振り返りにこやかに笑うデンデ。
つられてピッコロも薄く笑い返す。
デ「えっと…ではこの方が目を覚ますまでピッコロさん、傍にいて戴けますか?」
ピ「お……オレがか……?」
デ「はい。ボクとポポさんはまだ仕事が残ってて……目が覚めて誰もいなかったらきっと不安がられるでしょうし」
ピ「………わかった」
ピッコロは渋々頷く。
デ「では、目を覚ましたら呼んで下さい」
そう言い残し、デンデとポポは部屋から出て行った。
後には難しい顔をしたピッコロが腕を組み、女を見つめたまま唸り込んでいた。