• テキストサイズ

【DB】彼岸花

第2章 プロローグ







ーー 学校・屋上


蓮「ふぅ〜…やっと一息つける…」


そう言ってあたしは柵に寄り掛かった。
家じゃこんなのんびり出来ない。
学校の屋上はあたしの安らぎの一つだ。


蓮「ハァ……」


無意識の内に出てくる溜め息。


迅「な〜に辛気くせぇ顔してんだ?」


声のした方をチラッと横目で見ると、幼馴染みの『辻宮 迅』が居た。


蓮「よう、迅。なに、ちょっと疲れてるだけだよ…」


迅「…帰って来てんのか?…あいつ」


蓮「……うん」


迅は小学校の時からの幼馴染みだ。
転校してきたばかりのあたしに一番良くしてくれた。
その時は髪こそ黒かったが、この目…左右違うこの瞳のせいで周りからは気味悪がられよく虐められた。
そんなあたしの事を迅はいつも庇ってくれた。
あたしは、そんなこいつが大好きだ。


それに、こいつはあたしと似た様な家庭で育っている。
だからあたしはこいつには何も気にせず色々話せる。
だからこいつはあたしの家の事情も知ってる。
あたしの髪が何故白くなったのか知ってる。
あたしの背中に何故刺青が有るのか知ってる。


こいつは…あたしが家の事を話す時、ただ黙って聞いてくれる。
昔からこいつはただ黙って、あたしの頭を撫でてくれた。


迅「いつ帰ってきたんだ…?」


蓮「昨日の夜中…。帰ってきて早々腹に一発やられたよ…」


迅「そっか……」


ポンポン…


(ほら、いつものやつだ…)


こいつはまたいつもの様に頭を撫でてくれる。
それ以上何も聞かずに、ただ黙って頭を撫でてくれる。
それが堪らなく嬉しい。
こいつには、感謝してもしきれない恩がある。
こいつがいなかったら…あたしはとっくにダメになってた。


迅「次の授業どうするよ?」


蓮「受けるよ。流石にダブり(留年)はしたくねぇからな…」


迅「そっか。じゃあ一緒に行こうぜ♪」


蓮「おう」


そしてあたし達は仲良く並んで教室に戻った。
/ 122ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp