【あやかし百鬼夜行 魂 】妖界王には人間の隠し子がいまして…
第2章 妖怪横丁での出会い
貴「え、俺?!」
尾「その通り。理屈は知らんが、お前さまが良いと思ったのじゃ」
「アレじゃ…女の勘というやつじゃな、たぶん」と尾光は付け加える。そして彼女はニンッと笑顔を浮かべる
尾「まぁ、難しいことは考えなくても良い。今はただ何も考えずに…わしの手を取ってくれれば、それで良いのじゃ。ほれ♪」
尾光が月沺の手を取った途端、彼の頭に一瞬多くの言葉が聞こえてきた。全て彼女の声で、最後には中央の自分と尾光、そして自分が率いるのであろう百鬼夜行の姿が見えた。登り旗には『銀露組』と書かれていた
尾「…さま、お前さま!
ぼーっとしてどうしたのじゃ?」
貴「ッ?!…いや。俺、百鬼夜行の頭領になるよ」
尾「本当じゃな!いやぁ、ありがたい!やはりわしの見立てに間違えは無かったようじゃのう。わーい♪」
尾咲はとても喜んでいた。あの走馬灯が本当なら、俺は妖界王の跡継ぎになる訳か、と彼は育て親の顔を思い浮かべる
尾光は月沺の手を引っ張り、「こっちじゃ」とある場所に連れて行った
『羅生門』に到着
ここがお供探しの基本だ、と尾光が彼に説明した
貴「なぁ、あの白い奴とか良いんじゃないか?」
月沺が指差す先には白い和服を着た妖狐。金髪に桜色の目で、腰に刀を差している。その者がこちらに気づいたようで、ニンマリと笑った
「ふっふっふ、やはり羅生門で見張っていて正解じゃった…久しぶりじゃのう、尾光」
尾「げっ…尾咲(オサキ)!Σ(・□・;)」
(貴「知り合いか?」)
尾咲と呼ばれた妖狐は2人の元へ向かい、尾光を指差した
咲「わしから逃げられると思ったら、大間違いじゃ!大婆さまが忙しいことを良いことに、そんな格好でフラフラしおって」
(貴「尾光ってどっかのお嬢様なのか?」)
咲「屋敷の者が嘆いておったぞ?尾光はどこの馬の骨とも分からぬ輩と何たらかんたら…」
月沺が尾光に目をやると「こやつは親戚みたいなものじゃ」と苦笑いする。すると尾咲がやっと彼の存在に気がついた
咲「ん?何じゃ、そやつは…ハッ!∑(゚Д゚)
分かったぞ。そやつが屋敷の者が言ってた“馬の骨”か!
馬の骨の妖怪とは何とも奇妙な…」
尾「尾咲、馬の骨とはそういう意味でないぞ」
貴「(´・ω・)」
尾「真に受けるでない」