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〈イケメン戦国〉紫陽花の咲く季節

第8章 再び


絢たちが消えて(ウインドウショッピングに赴いて)少したった頃、私達は昨日私が喧嘩を吹っ掛けた(といえば語弊があるが)男の人たちに囲まれてしまった。

「昨日はどうも、おひいさん」

「今日はあの野郎はいないんだなあ?」

あの野郎、とは昨日私をたすけてくれたオッドアイの男の人なのだろう。

「…姫様に向かって無礼を働くでないぞ」

そう言って青年(政宗の部下)が刀を構える。
私は座ったまま青年に言った。

「気にすることないわ。言わせておきなさい」

自分が放った言葉が以外と相手を煽るようなもので、自分には煽り属性があるのかもしれないと、どうでもいいことが頭をよぎった。

「馬鹿にしやがって!」

こめかみに青筋を浮かべた男二人が青年に切りかかった。
と同時に後ろから気配を感じ、私は体を反転させて椅子から離れた。

「ちっ」

後ろにも男が二人。

(なるほど、これは他にもいるね)

追加の追手の可能性とここにいて助かる確率を考えて無理だと悟り、私は飛び出した。

「椅子、ごめんなさい!」

そう叫んで私は茶屋の椅子の上を走って大通りに出た。

邪魔だったので下駄を脱ぎ、裾は気にせず走った。

足の裏は痛いし着物のせいで走りにくいしで散々なのだが止まったら死ぬと思い我武者羅に走った。

この時代の普通のお姫様だったら茶屋の時点で捕まっていただろう。
私は自分が現代から来た運動部女子であることに感謝しながら走った。

暫く追われていると右手に裏路地が見えたので咄嗟に曲がった。

運良く樽があったのでそれに身を隠す。

「くそっ!逃げ足の早い…」

「そう遠くへは行ってないはずだ!分かれて追え!」

追手の指揮官みたいな人が指示を出す声が聞こえた。

(非常にまずい)

地の利はあちらにある。
もしこちらに来たら逃げられるかわからない。

近づく足音に怯えていると上から声が降ってきた。

「そこで何をしている」
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