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〈イケメン戦国〉紫陽花の咲く季節

第8章 再び


(見つかった…?!)

振り返って声の主を確認する。

「あ…」

「お前は…」

声の主は昨日私を助けてくれたオッドアイの人だった。

「何故ここにいる」

その人は訝しげに私を見て言った。

(それは私が聞きたい)

そう心の中で突っ込んだがそんな場合ではないので素直に答える。

「ちょっと追われてて…」

隠れてるんです、という言葉を遮って男たちの声が聞こえた。

「おい!薄紫の裾が見えるぞ!女はここだ!」

(どうしよう…!)

私は冷静になろうと自分に落ち着けと言い聞かせた。

「おい」

オッドアイの人が樽の前に来て言った。

「あれは昨日の奴等か」

「…っはい」

私は何とか声を出して返事をする。

オッドアイの人と私を視認した男たちが刀を抜いて声を張った。

「昨日はこいつが世話になったんだってなぁ?ん?」

「こっちは五人いるんだ!昨日のようにはさせねぇよぉ!」

そう言うや否や切りかかってくる。

オッドアイのひとは抜刀すらせすに「ふん」と言ってつまらなさそうに立っていた。

(いくらなんでも五対一はやばいって…!)

私が逃げて、と言おうとしたとき、一瞬きらりとなにかが光って、気付いたら男たちは全員地に付していた。

(え、死んだ?!)

何が起こったのか良くわからない。

「とどめはお前が刺すか?」

オッドアイの人がこちらを向かずに訊いた。

「いえ」

ここで殺人罪を犯したくないし何よりまだこの人たちに追跡されただけてなにもされてない。

「やはり貴様も女だな」

オッドアイの人は私に鋭い眼差しを向けて言い捨てた。

(は…?)

思わずかっとなり立ち上がって言い返した。

「それは聞き捨てなりませんね。女だからって決めつけるのは些か早計なんじゃないですかお兄さん」

名前がわかんないのでとりあえずお兄さん呼びにしておいてやる。

「では貴様がとどめを刺さない理由は何だ」

オッドアイの人は鬱陶しそうにたずねる。

「私がまだ危害を加えられてないからです」

「加えられるところだっただろう」

このままだと終わりが来ないだろうなと思い、頭に血が上っていた私は通じもしない現代観を話した。

「されるところだとしても殺害してしまえば正当防衛の範囲を越えるから逆に私が犯罪者になるでしょ?」
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