第7章 宴
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二曲目も気持ちよく歌い終わってしまったところで、自分が大声で歌ってしまっていたことに気付く。
(しまった!いつものノリで歌っちゃったじゃん…!)
あまりのドジ具合に自分でも呆れるばかりだ。
この時代には建物に防音もへったくれもないはずなので絶対お風呂の近くの人に丸聞こえだったはずだ。
(やっちまったっ…!次からは声抑えよう)
ちゃぷちゃぷと水を手で弄びながら私は猛反省した。
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浴室の内側では絢が歌い終わってしまった事にさくらたちが残念そうにしていた。
「姫様、歌い終わったのでしょうか…」
「そのようですね…」
「あのような歌は聞いたことがありませんでしたが二番目のは特に胸が締め付けられるようで…」
三人はほう、とため息をつく。
しばし間が空いてから、一番背の高いりんが言った。
「…話は変わりますが、姫様は今までお見かけした姫様方とは随分違うと思いません?」
さくらは頷いた。
「高圧的ではありませんでしたね。私たちが浴室で付き添うのを嫌がっていらっしゃいましたし。それに比べてこの前の姫様と来たら…」
一番年長のふじが言った。
「それ以上はいけませんよ、さくら。…ですが私も姫様は他の姫様方より色黒で筋肉質でいらっしゃるとは思いました」
「たしかにそうでしたね」
りんが感心しながら頷く。
「どのようにお育ちになったんでしょうね?」
「さぁ…」
さくらが小さくこぼした疑問に答えは発せられなかった。
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