第7章 宴
お風呂で歌えたことにより気分が上がった私はジャンルをかえてもう一曲歌うことにした。
「Think of…」
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それを外で聞いていたさくらたちは、外に出て見ようか中でうずうずしていた。
聞いたことはない節とだが聞いていて一つ目は胸が躍り、今の歌は言葉すらわからないが胸が締め付けられるような切なさを感じる。
「いったい絢様はどのようなお方なのかしら…」
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もちろん響き渡る声は城の浴室付近にも当然聞こえていて行く来る人が浴室の方を見ながらそこを通りすぎていく。
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図らずして露天風呂からそう距離はない天主にも微かながら声が届いていた。
信長は外に出て城内側を見やる。
「秀吉、あれは絢か」
報告に再び天主に来た秀吉は言った。
「そのようでございます。城の中でちょっとした話題になりつつありますが…」
「よい。歌わせておけ」
信長は今絢が紡いでいる、胸が心なしか締め付けられる歌を聞きながら帰還時の彼女が見せた表情を思い出し、自分の中に得体の知れない感情が沸き上がる。
「たわけ」
そう呟いて信長は自分の中に沸き上がる感情を振り払うようにきびすを返し、文机の前に戻った。
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「あれは何だ?」
政宗は客室の多い方に近い厨房に顔を出すところだった。
そこに歌声が響いてきたため通りかかった女中に声を掛けたという訳である。
「私たちも存じ上げないのですが…姫様ではないかという噂が流れております」
「そうか。ありがとな」
政宗は自分が知らぬ世界をまた垣間見たような気がして胸を踊らせた。
(やっぱりあいつ…面白れぇな)