• テキストサイズ

〈イケメン戦国〉紫陽花の咲く季節

第7章 宴


私は小さくため息をついた。

(仕方ない…未成年だからお酒飲めないし、さっさとご飯食べて退散しよう)

私は心を決めてさくらちゃんがせっせと用意している隣部屋に入る。

「さくらちゃん、支度って具体的に何するの?」

私は部屋の諸々に圧倒されそうになりながら尋ねる。

さくらちゃんは振り向いて言った。

「そうですね…絢様は昨日戦に赴いていらっしゃったので内輪の宴ではありますが、湯浴みから始めましょう」

「ええっ」



かくして私は浴場まで連行されている。

わけもわからずとりあえず付いていっていると政宗が角を曲がったところの部屋から出てきた。

「絢じゃねぇか。どうしたんだ?」

政宗はおとなしく連行されている私を珍しいと思ったのか面白がっているようだった。

「宴の支度か何かでこれから湯浴み」

「へぇ…気合い入ってんじゃねぇか。宴で会えるの楽しみにしてるぜ」

そう言って政宗は右手に持っていた書類と共に去っていった。

政宗の姿が見えなくなるとさくらちゃんがしみじみと言った。

「やはり絢様は織田所縁の姫様なんですね…」

「どういうこと?」

「伊達様は私達下々の者にも配慮してくださいますが、用がない限り直接お声を掛けないのですよ。…他の武将様もそうですが」

まぁそうだろうなと思いながらうんうんと頷く。
彼等もそんなに暇ではなかろう。
むしろめちゃくちゃ忙しそう(?)だし。

たしかに政宗はいま何の用もなく話しかけてきたけど…政宗のことだ。
きっとただの興味本位だろう。

そんなことを考えているとさくらちゃんに背中をぽんと押される。

「さ、行きましょう!時間があまりありませんから」

さくらちゃん、まだ2時とかだよ…???という言葉を飲み込んで私は「はーい」と返事をした。
/ 119ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp