第4章 城下
佐助さんは眼鏡をくいっとあげて言った。
「うん。僕は君達を探していたんだ」
「私たちを…?」
「昨日の事は覚えているよね?僕はあの本能寺の変が起きた、四年くらい前にこっちに飛ばされたんだ」
そう言われて私ははっとする。
たしかに、佐助さんはあんな格好じゃなくて白衣を着てた気がするし、雰囲気も少し違う気がする。
「同じタイミングで雷に打たれたのに…そんなことあるんですね」
「俺も驚いたよ。…ところで、一緒にタイムスリップしてきた子もう一人いなかった?」
私は思わずびくりとする。
「はい。実は、西方の大名が起こした謀反鎮圧に行った信長様に着いていってて…」
かくかくしかじかを佐助さんに説明した。
「なるほど。俺としてはめちゃくちゃ興味ある話だ。…あ、椿さん。あの人、君の迎えじゃないかな?」
佐助さんが目線を投げた方をみると三成さんが遠目に見えた。
「そうだと思います」
すると佐助さんは立ち上がって言った。
「色々事情があって僕のことは内緒にしてくれると嬉しい。今度近況を聞きに会いに行くよ。…ではこれにてドロン」
そう言うと佐助さんは私が返事をする前に一瞬で消えた。
「え"」
さっきまで佐助さんがいたところを見ても触っても佐助さんは居なかった。
(な、謎だ…!)
佐助さんは一体何者なんだろうか?
そうしているうちに三成さんは甘味処の私が座っている椅子の前に着いた。
「椿様、お待たせいたしました。遅くなってしまい申し訳ありません」
三成さんは申し訳なさそうに言った。
私は慌てて立ち上がった。
「いやいや、こちらこそお忙しいのにお迎えに来させてしまってすみません…!」
代理で三成さんにお勘定をしてもらい、私達は城へと帰っていった。