第4章 城下
城下はとても賑わっていた。
「そこの姐ちゃん、これなんか夕餉にどうだい?」
「あら、じゃあそれにしようかしら」
「寄っといで!寄っといで!新鮮な魚だよ」
「ほんとかい、じゃあ二つおくれ」
そこには確かにドラマとかで見たような演技ではなく、この人達の生活が在った。
「はぐれないようにしろよ?」
政宗が呆気に取られている私の顔を覗き込む。
「わかってるよ!」
私はむっとして顔を背けた。
「悪かったって(笑)ほら、日が暮れるまであまり時間がねぇし、さっさと回ろうぜ」
今絶対笑ったな、と思いながらも城下町の誘惑に負けて私は笑顔になって返事をした。
「うん…!」
─
色々なところを回った。
反物屋、青果市場、装飾品を売ってる出店、化粧品屋さん…
最後に晩御飯前だけど甘味処に来た。
甘味処とはいえちょっとしたご飯程度とかなら出るらしい。
(現代でいうカフェみたいなものかな?)
椅子みたいなものに座って辺りを少し見回す。
「お前、何が食いたいんだ?」
政宗が渡したメニューを広げてみた。が、読めず政宗に聞くのも何だか癪だったので言った。
「政宗のおすすめ」
すると政宗はニヤリとして言った。
「俺が試されてるって訳だな?」
「え、いや、別にそんなつもりじゃ…」
今更やっぱり読んでもらえば良かったかなと後悔する。
「読めなかったら素直に言えよ。…わらび餅でいいな?」
「うん…!」
政宗がお店の人にわらび餅とお茶を二つずつ頼む。
暫くしてお店の人が中から私達が頼んだものを持って出てくる。
「お待たせいたしました」
「ああ、ありがとな」
政宗がそう言うとお店の人はにこりと笑って戻っていった。
「ほら、食おうぜ」
「うん、いただきます!」
思いがけず私の好きなわらび餅が政宗のおすすめでテンションが上がる。
「美味いか?」
「うん!とっても」
そうして私はお茶を不覚にもエンジョイしてしまった。
食べ終わって政宗と話していると家康さんが通りかかる。
「よぉ、家康」
「…いた。政宗さん、この辺りに今朝の件の奴等らしき者の目撃情報がありました」
それを聞いた政宗は目の色を少し変えた。
「悪い、家康とちょっくら行ってくるからお前はいい子で待ってろ。迎えを寄越す」
「わかった」
私は頷いて二人を見送った。