第4章 城下
私はそれをおずおずと受け取って「ありがとうございます」言った。
秀吉さんは私の頭をぽんぽんすると言った。
「あんまりないが…まぁ、使いすぎるなよ」
「はい。でも、なんだか申し訳ないです」
私がそう言うと秀吉さんは首を振って言った。
「気にするな。折角の城下だからな、楽しめよ?」
「はい…ありがとうございます」
「あぁ」
そう返事して政宗の方をちらりと見やると秀吉さんは「じゃあな」と言って忙しそうに去っていった。
「じゃ、行くか」
政宗は立ち上がって言った。
「うん」
「支度している間廊下で待ってるから終わったら言えよ」
そう言って政宗は部屋を出た。
「はーい」
私はそう返事すると部屋に用意されていた鞄(というか巾着?)らしきものにさっき秀吉さんから貰ったお小遣いを入れて廊下で待っている政宗に声をかけた。
「お待たせ」
「あぁ。早かったな」
「鞄に物入れるだけだったから」
「かばん?」
「あぁ、えっと、これ!」
私は手に持っていた巾着袋を政宗に見せた。
「なるほどな。じゃあ行くぞ」
そう言うと政宗は絢をお見送りしたときと同じ道を使って門まで出てくれた。
城下までの道すがら、武将たちの御殿を通りすぎながら私たちは山を下りていった。
「今朝お前らは城下を通って来たから大方どんな感じかはわかるだろ?」
「うん。なんか賑やかだった」
すると政宗は少し誇らしそうに言った。
「だろ?見てるだけじゃわかんねぇこともある。しっかり楽しんでもらうぞ」
「うん!」
まだ絢が心配なのはそうなんだけど、何だか政宗のノリに付き合ってると気が晴れそう。
「どうした?疲れたか?」
「ううん」
「そうか」
そんなことを思いながら私はまた歩き始めた。