第1章 出会い
6月2日 PM7:00
「ひゃー、長かったぁ…」
私は今日酷使した筋肉を解すように腕をぶんぶん振るう。
「ほんとに…」
横で椿もやれやれと言いながら肩を伸ばしていた。
「でも…雨降ってないっていいね!最高!!」
いつもは雲で隠れている日が沈んだ直後の紫がかった空を二人で見上げる。
「ね、晴れるって言ったでしょ」
「いやー、さすが椿!せっかく星見るんだし明かり少ないとこ通らない?」
「そうだね!遠回りしちゃえ」
「そうと決めたら…」
私達は顔を見合わせて母親に遅くなるとLINEをいれ、交差点を右に曲がるはずのところを意気揚々と直進した。