第2章 安土城
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「絢!絢!」
私は小声で隣で正座をしたまま微動だにせず寝ている親友に声を掛けた。
(結局始まってから15分くらいしか経ってない…流石と言うべきか)
さっきから信長様が報告を聞いてはすぐに指示を出しているのでどんどん人が退出している。
「…んー」
絢は小さく唸り、目をぱちりと開けて小声で言った。
「…早くない…?」
「うん…。信長様がめちゃくちゃ処理速度が速い人だった」
私達がこうしてひそひそと話しているうちにも急いで出ていく人達や考え事をしながら出ていく人達が前を通って行く。
「…あのひとで最後みたいね」
正座は流石に痺れたので私は途中から体育座りに座り変えていた。
絢はそのまま寝たから足がよっぽど痺れるらしく、さっきから小さく唸りながら足の指を揉みほぐしている。
そうこうしていると、最後の人が私達の前を通って退室した。
「待たせたな」
そう声が掛かり、前を見ると武将達と三成さんがこちらを見ていた。
私は急いで隣で足の指マッサージをしている親友の肩を叩いて前を見るように視線を送った。
「…え、(なんか見られてない?)」
私は頷いた。
二人で急いで体育座りから正座に変えて上座の方を見ると、信長様が言った。
「近うよれ」
(近くってどれくらい⁉)
絢が目で聞いてきた。
(私もわかんないけど…とりあえず三成さんのニ、三歩後ろらへんにしよう)
(わかった)
私達は立ち上がってさっき決めた位置まで歩き、座った。
すると豊臣さんが眉をひそめて言った。
「お前ら御前にお呼びされたときの作法を知らないのか?」
私達は顔を見合わせ、二人で首をかしげてから言った。
「「はい」」
「…あのな、こういう場では立ち歩かないもんなんだ。わかったか」
「「はーい」」
私達がちゃんと返事をしたのを確認して豊臣さんは信長様に言った。
「御前をお騒がせしてしまい申し訳ございませんでした」
「よい。気になどしておらぬ」
信長様はそう答えてから再び私達の方を向いて言った。
「貴様らを暫くこの城に置く。表向きは験担ぎのためだと言えば椿、貴様はわかるだろう」
そう言われてこの時代女は道具に使われていたことを改めて思い知り、少し不満に思いながらも返事をしたの。
「…はい」