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〈イケメン戦国〉紫陽花の咲く季節

第2章 安土城


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城下町を過ぎ、山に入って少しすると立派な門が見えてきた。

「あれは…?」

私は光秀さんに尋ねた。

「黒金門だ。知らなかったのか」

「はい」

そう言って私は再びこの城を見上げた。

(…これが、安土城)

「おや」

光秀さんが先の方を見て言った。

「どうしたんですか?」

私も目を凝らしてみるけれど、何も見えない。

「お前の友人も出迎えに来ている」

「え」

私は伊達さんの早駆けの早さに改めて驚く。

(あの絢でも最初は嫌がるわけだ)

心の中で私は一人納得した。


そして徐々に私でも人が見えるくらいまで近づき、私達は安土城に到着(私以外の人にとっては帰還)した。

門の中には武士らしき人達が10人くらいいて、その中に石田さんと暖色系ののコーディネートの人と絢が立って待っていた。

私が馬から下ろしてもらうと絢は私に飛びついてきた。

「椿っ!」

「絢!大丈夫だった?」

「うん。なんか慣れた」

「さすが絢」

それを横目に武将達は帰還の挨拶を交わす。

「お帰りなさいませ。信長様、秀吉様、光秀様」

「あぁ。先に帰らせてごめんな、三成」

「家康。留守中に変わりは」

「ありませんでした」

信長様は家康と呼ばれた男の人が返事をすると私の方を向き、顎で示した。

「あやつが椿、もう一人の俺を救った女子よ」

「…へぇ」

家康さんはそれだけ言うとくるりと背を向けて歩いていった。

「弱そうな女」

現代に生きる女子校に在学中のJKとして聞き捨てならぬ言葉が聞こえ、私は思わず言った。

「人を見た目や性別で判断するなんて愚の骨頂!」

「「「!」」」

家康さんがぴたりと止まる。

後ろで信長様が面白そうに「ほう」と言ったのが聞こえた。

(やばっ…勢いで言っちゃった)

「どういうこと」

背を向けたまま家康さんが尋ねてきた。

私は意を決して言った。

「貴殿方武将でもご存じないことを私達は知っています。侮るのは早いかと」

「…そう」

それだけ言うと家康さんは去っていった。

そして私たちを疑いまくってる豊臣さんが私達が一時的に滞在できる部屋に案内してくれた。

「半刻後の軍義に来い。信長様のお呼びだ」

そう言って豊臣さんは部屋を後にした。
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