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〈イケメン戦国〉紫陽花の咲く季節

第9章 褒美


目が覚めると知らない部屋にいた。

(いや、どこ)

首を動かしてみると家康さんらしき人影が目に入る。


「あの…」


人影が振り向く。
やっぱり家康さんだった。


「…ここは俺の部屋。あんたが倒れたから面倒見ろって言われたから入れてるけど入ってこないでよ」


そういいつつ家康さんはマメがつぶれた掌の包帯を取り替えてくれる。


「ご迷惑をおかけします」

「わかってるならくだらない見栄を張らないでよね」


家康さんは依然としてつんけんしている。


「…どうせあの人に無理難題を押し付けられたんでしょ」

「素振り1000回と言われました」

「はあ…」


家康さんは深くため息をついた。


「たぶんあんたを試したかっただけだから次からはマシになると思うよ」

「そういうものですか」

「意気地無しに教えることはないでしょ」


なんとも辛辣である。
まあたしかにそうなんだけどね。


「…立てる?」


掌の包帯を取り替え終わった家康さんは私にそう尋ねた。
全身が痛いことには痛いがなんとか立てなくもない。


「なんとか」

「じゃあ自分の部屋に帰りなよ」


そう言って家康さんは帰りの道順を教えてくれた。


「お世話になりました」


私はそう言って家康さんの自室を後にした。

(家康さんの部屋、本と医療関係の物しかなかったな)

徳川家康は薬学にも精通してたらしいと教わったけどもうあれは医者レベルだと思う。

私は密かに家康さんを尊敬した。
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