第9章 褒美
「988、……989」
もう無の境地である。
あまりにも疲れすぎて周りが固唾を飲んで見守っていてくれていたのにも気付かなかったくらいだ。
「999、……1000!!!!!」
振り終わると同時に私は床にばたりと倒れこんだ。
そこでわっと道場がわいた。
「…え」
鍛練していたはずの一人が手をさしのべながら私に声をかけてくれた。
「姫様、お疲れ様です。御立派でした」
「あ、ありがとうございます…?」
私は手をとって立ち上がった。
早くご飯食べてお風呂に入って寝たいや。
「失礼しました…」
私は静かに道場を後にした。
皆は稽古を続けていた。
・──・
(ここだけ絢視点)
兵法書を読んでいると朝に出ていった椿が疲れはてた様子で帰ってきた。
「ただいま、、、」
そう言って椿は床に倒れこんでしまった。
「え、ちょっと…椿?」
私は思わず立ち上がる。
「えええっ?」
私は駆け寄って脈と息を調べる。
(よし、しっかり生きてるな)
とりあえず床に転がってるのも何なので布団を出してその上に寝かせておいた。
「誰か呼んでこよう」
そう言って私はふみさんかさくらちゃんが部屋に来たときのために書き置きを残して部屋を去った。