第5章 「出会ってはいけない運命」
「しかし…奴と互角な魔法使いは君だけだ、
君に奴と戦って欲しい。」
「出来ない。」
「このせいか?」
トラバースが呪文で、10代頃の
ダンブルドアとグリンデルバルドの映像が現れた。
「二人は兄弟のように親しかった。」
「兄弟以上だった」
ダンブルドアは後悔でいっぱいだが、もっと苦しいのは
人生の中でただ一度自分が完全に理解されていると感じた時を懐かしむ気持ちだった。
「奴と戦う気になったか?」
「戦えない。」
「ならば、君はどちら側に着くか…立ち位置を選んだ。」
トラバースが杖をもう一度振ると、
太い金属の手錠である戒め錠が現れて
ダンブルドアの両手首に掛かった。
「今後きみの掛ける呪文を、私が全て掌握する。
君の監視を強化する…
そして、君にはもう闇の魔術に対する防衛術を教えさせない。」
トラバースが荒々しく部屋から出ていくと、
他の闇祓い達も後に続くとダンブルドアはテセウスを呼び止めた。
「テセウス、グリンデルバルドが集会を呼びかけたら邪魔するんじゃないぞ。トラバースに君を送り込ませるな…君がかつて私を信じていたことがあるなら___」
「テセウス!!」
テセウスはダンブルドアから
忠告を聞くと部屋から出ていった_______
午後の遅い時間のたいようが、廊下を差し込んでいた___
思い出だけが詰まっている廊下をリタが一人で歩いていた。
13歳のリタが隠れている空の教室の前を、マントを着た生徒達がフクロウを連れてトランクを載せたカートを押しながら通り過ぎていく。
「ねぇ彼女、休暇にはいつも学校に残るわ。
家族があの子に家に居て欲しくないのよ…」
「無理もないわ、あんな嫌な子だもの。
レストレンジって聞いただけで気持ち悪いわ」
リタが女子生徒達の前に飛び出し、
「オスコーシ! 口消えよ!」と唱えた。
グリフィンドールの一人の女の子の口が、
ぴったりと閉じて口が無くなったように見えた。
勝ち誇ったリタが、ショックを受けている
生徒達を押しのけてその場から逃げ出した________