第5章 「出会ってはいけない運命」
カフェの狭いトイレの中で
カーマが鏡を覗き込み、突然彼の顔が痙攣した。
手を上げて首を振りながら片目を擦ると
目の端に小さな触手のようなものが見えた。
カーマは苦痛で小さく悲鳴をあげ
ポケットから明るい緑の液体が入った
小瓶を取り出し、スポイトで目に注いだ。
ニュートは羽根がとある1人の男性を示している事に気付き、ガラス容器から羽根を放すとカーマの帽子に飛んで行った。
「あいつか?探してるやつは」
「あぁ、そうだ。」
ニュートとジェイコブは勢いよく立ち上がって、
カーマの前に立った。
「アー…ボンジュール。ボンジュール、ムシュー」
カーマはニュートを無視して
歩き続けようとしたが、ニュートに遮られてしまった。
「待って、あ、すみません。
僕達……もしや僕達の友人を見かけませんでしたか?」
「ティナ・ゴールドスタイン、コウヒ・ローズウィル」
「ムシュー、…パリは大きな都市ですよ?」
「二人のうち一人は闇祓いです。
闇祓いが行方不明になると、魔法省が乗り出します。
それに、もう一人は誰もが1度は耳にした事が
あるはずの純血であるローズウィル家の末裔です。
ですから…いや、むしろ彼女達の疾走届を出した方がいいかもしれない_____」
「一人は背の高い?焦げ茶色の髪?かなり___」
「……激しい?」
「そして、もう一人は背の低い?
明るいピンクミルキー色の髪?」
「_____とても、美しい。」
ニュートはコウヒの事に
即回答してカーマに答えると、くすりと笑って答えた。
「昨夜そういう人を見かけたように思う。
その場所にお連れしましょうか?」
「よろしければ、ぜひお願いします。」
「いいとも」
ニュートとジェイコブはカーマの後を着いて行った。
彼が二人に見えないように笑っていたとも知らずに______