第5章 「出会ってはいけない運命」
クイニーが雨傘をさして、しょんぼりと通りに立っている。
すると脇道から脇道へと急いでいる
ジェイコブとニュートの菅田が見えた気がした_____
「一休みして、コーヒーかなんか飲んで…」
「ジェイコブ、後にして」
「ココアとかさ…なぁ、いいだろ?」
「こっちだ。」
クイニーは、ニュートとジェイコブを見つけようとして
慌てて小走りに走り出した。
「ジェイコブ、ジェイコブ!!」
しかしジェイコブは見つからない。
雨の中、疲れきって孤独で…周りの人混みが全部
耳を覆いたくなる大騒音になって聞こえ、クイニーは道路の縁石に座り込んだ。
「マダム?トゥ ヴァ ビアン、マダム?」
「……ぇ?」
「大丈夫ですか、マダム?」
クイニーの肩にそっと触れた手、
彼女は振り返って笑いかけようとするが
知らない人だった為怪訝な表情になる。
「このままでは、風邪を引いてしまうわ。
私の主人の館に案内しましょう」
「いや、そんな悪いわ…
見ず知らずの私を案内するなんて…」
「そんな悲しい顔をしている貴方を放ってはおけないわ。ここは私に甘えて着いてきて」
クイニーはロジェールの言葉に渋々
受け入れ、彼女の後を着いて行った________
クリーデンスとナギニが曲がり角から、
遠くの「18番地」の建物をじっと見ていた。
屋根裏の部屋に明かりが着いていて、人影が横切っていく。
「あの人は家に居る」
ここまで来てはみたが、
クリーデンスはその場から動けなくなる。
どうしても先に進めない…
ナギニがクリーデンスの背中に張り付いたようになっている手を見ると彼女はクリーデンスを引っ張って道を横切った_____