第5章 「出会ってはいけない運命」
クイニーが広場の中央にある木立に近づき、
咳をすると木々の根が伸び上がり
鳥籠のエレベーターとなり彼女は地中に降りていった。
降り立った先は、美しいアール・ヌーボーの
フランス魔法省となっていた。
「ビェンヴニュ オ ミニステール デ ザフェール マジーク?」
「ごめんなさい、今なんておしゃったか分からなくて…」
「フランス魔法省にようこそ、どういったご要件ですか?」
クイニーが話している相手は魔法省の
受付であり、彼女はティナとの会談をしに彼女はここに来た。
「ティナ・ゴールドスタインと話したいのです。
アメリカの闇祓いで、ここである事件に関わっていると____」
「ここにはティナ・ゴールドスタインという方はおりません。」
受付嬢はファイルを数ページ捲りながら
クイニーにそう告げた。
「そんな…何かの間違いだわ、
ティナがパリに居ることは分かっているの。
絵はがきをくれたから、今お見せします。」
クイニーはスーツケースを取り上げると
ケースの留め金が外れて蓋が開き、中の物がこぼれ落ちた。
「ここにあるはずなの…あぁ、どうしましょ!
ちょっと待って、どこかに入っているはずだわ。
絶対に入れてきたもの…何処にいっちゃったのかしら?」
受付嬢がいかにもフランス的に肩を竦めた時、
気取った年配のレディが、クイニーの背後を通り過ぎていく。
荷物を入れたショッピング・カートを引いている______
そして、エレベーターに乗り込み、
ドアが閉まると年配のレディはアバナシーの姿となり
エレベーターに居たロジェールに四角い荷物を渡した。