第3章 「懐かしかい再開」
ニュートが居間への階段を上り、
杖を構えてドアを押し上げると見覚えのある二人の姿がみえた。
「あ…」
「よう、ニュート!こっちに来いこのやろ!」
ジェイコブがニュートに抱きついてきた。
ニュートは嬉しい一方、困惑の気持ちになっていた
「ニュート、ごめんなさいね…勝手に入っちゃって
雨が土砂降り!ロンドンって寒い!!」
「でも君、オブリビエイトさせられたはずだ!」
「そうさ!」
「それじゃ…でも…」
何故、ジェイコブに3ヶ月前の記憶があるのか
ニュートは不思議で仕方なかった。
「効かなかったんだぜ、つまり君が言った通り
薬は悪い記憶だけを消す。俺にはそんなのがなかった。
あ、勿論奇妙な記憶はあったけど…でもこの天使が、消えたところは全部埋めてくれた。だからこうなったのさ、そうだろ?」
「そりゃ良かった!」
ニュートは辺りを見回し、ティナとコウヒを探した。
「あ、私たちだけなの、私とジェイコブ」
「そう…」
折角二人に会えた事に喜びを感じているが、
ティナとコウヒが居ない事に少々残念な気持ちも混ざっていた。
「ティナと私、口を聞かないの」
「どうして?」
不揃いな食器の置かれた食卓につき、
彼女達が居ない事でしっくりしない雰囲気になっていた。
「まあね、ほらティーンは私とジェイコブが
付き合っていると知って、気に入らなかったの。
だって、『法律』があるでしょ?
ノー・マジとデートすべからず。結婚すべからず、
あれもダメこれもダメよ。
でもね、もともとティナは取り乱してたの…貴方のことで」
「僕?」
「そう、ニュート、貴方よ。
『スペルバウンド誌』ほら…持ってきてあげたわ___」
クイニーが杖でスーツケースを開け、ゴシップ誌が飛んでくる。
表紙には不自然に美化されたニュートとありえない程にっこり笑っている二フラーが一匹。
『魔法動物調教師、ニュート・スキャマンダーが結婚』
クイニーが雑誌を開き、
テセウス、リタ、ニュート、バンディがニュートの本の出版記念で並んで立っていた。