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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第4章 悪魔と、死神と、切り裂きジャック





アンダーテイカーは、マリアンヌがこの店にやってきた時も似たような事を言っていたのを思い出す。

少しずつ過去の記憶に蓋をして、閉ざしていた心を開いてくれていたマリアンヌ。

ニナを始め、シエルやシエルの屋敷の使用人、エリザベスなんかもと少しずつ話ができるようになってきた矢先にこの事件だ。


忌まわしい記憶がフラッシュバックし、再び心が壊れてしまったのであろう。


でもアンダーテイカーはそれでもよかった。
マリアンヌの心が再び壊れても、求めるものが、執着するものが自分であればある程心地がいい。
むしろ都合が良い位だ。




「ほう…嬉しい事を言ってくれるじゃないか。」




「(……アンダーテイカーさん……お願いです…抱いて…下さい…)」



「!?」



マリアンヌのあまりにもストレートな要求に思わず目を見開いてしまう。



「(もっともっと、私が壊れるまで激しく抱いて下さい……私には…ずっとアンダーテイカーさんが側にいてくれるのだと…私の中に…証が残るまで…抱いて下さい……私には…死神である貴方が全てです……)」



嗚咽を堪えながらアンダーテイカーの手首を掴み必死にマリアンヌは訴えた。

その掴む力はマリアンヌの手からでは考えられない程の握力だ。ギリギリと爪が食い込むが、当の本人は、そんなことにかまう余裕はなさそうだ。



「そうかい……」



死神の口元がニタリと弧を描く。

マリアンヌは悲痛な想いでアンダーテイカーに必死に訴えるが、彼にはそれすらも、彼自身を悦ばせる愛の挑発でしかなかった。

それに、アンダーテイカーにとってもマリアンヌは唯一無二の絶対に失う事のできない愛しい存在だ。


もちろんその悲愴感漂う官能的な申し出を、断る理由などなかった。



「ヒッヒッ、マリアンヌは小生がどれだけ君を愛しているのか確認したいんだね〜」



マリアンヌは涙を流しながらコクコクと頷いてみせた。







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