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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第4章 悪魔と、死神と、切り裂きジャック





「(キャアア!!!)」


鮮明に飛び込んでくるショッキングな映像に思わず叫び声を上げてしまった。


それと同時にこみ上げてくるのは先程フラッシュバックしてしまった記憶。


「(う……うぅ……)」


脳内の片隅に追いやったはずの厳重な箱のカギを壊し、飛び出してきた記憶の飛沫は再びマリアンヌの身体を内側から容赦なく攻撃をしてきた。


胃のあたりでムカムカとしだした不快な感覚を、必死にマリアンヌはおさえ込む。







どうして…どうして彼女たちは殺されなくてはならなかったのか…

どうして人はこんなにも簡単に人を傷つけ殺すのか。


彼女たちは自由になるお金もなく、然るべき教養も受けられず、仕方なく身体を売っていた。

ただその日その日を一生懸命生きていたのだ。

それだけ、ただそれだけじゃないか!

マダムのしていたことは到底理解できるものではない。



「(ア、アンダーテイカーさん……どうしてですか?マダムの生きてきた人生は確かに過酷で無慈悲な運命の元にありました……ですが…ですが…だからと言って人を殺してもいい道理などありません!…こんなのひどすぎます……どうして、どうして人は…人はこんなに簡単に…人を傷つけるの…?)」


マリアンヌはかつての自分と重ねてしまい、ポロポロと涙を流しながらアンダーテイカーに訴えた。


「マリアンヌ〜、それが人ってモノなんだよ。酷いよね〜、勝手だよね〜?」


アンダーテイカーは、優しくなだめる様に囁くと、マリアンヌの顎を掴み、上を向かせて視線を合わせた。


「でもね、娼婦達だって同じじゃないのかい?だって、せっかくできた“赤ちゃん”をいらないからって理由で堕胎(ころ)したんだよ〜?」


「(!!!)」


そ、そんな…………


アンダーテイカーの思いもよらなかった言葉に胸をグサリと刺されたマリアンヌは、カタカタと震えだし、溢れ出す涙が止まらなかった。






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