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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第4章 悪魔と、死神と、切り裂きジャック



「(アンダーテイカーさん…あの黒いの、なんですか??)」


「おや?マリアンヌには見えるのかい?随分目がいいねぇ〜小生とずっと一緒にいたから見えるようになっちゃったのかな〜?」


「(え??)」


「前にも話した事あるだろう?あれが走馬灯、シネマティックレコードだよ。」


「(あ、あれが?!)」


自分にははっきりと血飛沫ではない黒いモノが見えるのだが、シエルの表情を見る限り、シエルには見えていない様だ。
やはり自分はアンダーテイカーの影響を大きく受けているのだろうか。


シュルシュルとマダム・レッドの身体から出てくるその黒い帯はよく見るとフィルムの様な形状をしている。


「見えるなら見てご覧。マリアンヌの知りたがってた“真実”が見えてくるかもしれないよ〜」


なぜ自分にシネマティックレコードが見えるのか、理由など分からなかったがマリアンヌは目を凝らしながらよく見てみると、最初はボンヤリとしていたフィルムの中身が段々と鮮明に見えてきた。





「あれが……マダム・レッドのシネマティックレコード……」





マダムの身体から飛び出す大量のフィルムには、彼女の人生が漏らすことなく記録されていた。






初恋の相手が姉と結婚し



それを忘れるが為にガムシャラに勉強をして医者になった


でも、派手に夜遊びを繰り返す私にも純朴で誠実な男が、自分の秘めた想いごと受け止めてくれた。


そして子供にも恵まれた


やっと幸せを手に入れることができた…


はずだったのに──


愛そうと思った男もやっとできた子供も……


事故で死んだ……


そして、姉も、あの人も…


何者かによって殺された……


大切なものはなにもかも失ってしまった


悲しくて悲しくて悲しいのに…


私は生きなければならなかった……


なのに……なのに……


私がいったい何をしたっていうの?なぜ神様は私ばかりこんな目に遭わせるの?


何もかも失った私に


それを持っていながらそれを簡単に捨てる娼婦…


私はただ……


憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて憎かった!!


だからお望み通り奪ってやったのよ!!

子宮も幸せも命も全部!!


そうして、堕胎手術をした娼婦を次々と切り刻んでいたら…


真っ赤な死神が私に笑いかけた──



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