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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第1章 甘くて激しいバレンタイン♪



シエルの言っていることももったもだった。

でもマリアンヌは違う。
出会った時からアンダーテイカーはマリアンヌにとって唯一無二の大切な存在だった。例え、その正体が人ならざるものであっても……

しかし、そんな事をどう説明すれば良いのだ。

筆談用の紙とペンを手に持ってはいるがなかなか文字に書き表す事ができない。


シエルは赤くなって俯いてしまったマリアンヌを見てさらに疑問は深まった。

マリアンヌの着ている服はいつも上等に仕立てられた物ばかりで、その繊細且つ斬新なデザインは、帽子などの装飾品に至るまで全てあのニナ・ホプキンスが手がけたフルオーダー物であろう。

あんな古びた店の何処にそんな金があるのかも不思議であったが、アンダーテイカーがここまでマリアンヌに執心している理由も興味深かった。

シエルはらしくもなく2人の仲が気になって仕方がなかった。

困り果てたマリアンヌだったが、ふとこの窮地を抜け出せそうなアイデアが思い浮かび、ペンを走らせる。

「(それはシエルさんの可愛いご婚約者、エリザベス様を想う気持ちと同じだと思われます。)」

マリアンヌはニッコリとメモを見せた。

すると今度顔を赤くしたのはまさかのシエルであった。話題の対象が自分に、しかも婚約者エリザベスを出されてしまうともう言い返す事ができない。

シエルは「もういい…」と不貞腐れてしまった。



──コンコン──



沈黙も長くは続かず、セバスチャンがやってきた。

「マリアンヌさん、必要な物は全て揃っておりますので、どうぞお持ち帰り下さい。」

買い物カゴには材料が、別に用意された袋には調理に必要な物が入っていた。

慌てて財布を出そうとすると、それはシエルの言葉によって遮られてしまう。

「金はいらん。同じ物は屋敷にいくつもあるからな。そのかわり今度店に行った時の情報料は負けろとアンダーテイカーに言っておけよ。」

シエルは早く持って帰れと言わんばかりに手をヒラヒラとさせている。

「(で、でも……)」

「坊っちゃんもこう仰ってる事ですし、お代は不要です。ちなみに加工用のチョコレートは純度100%のカカオを使用したファントムハイヴ社自慢のチョコレートで御座います。きっと美味しいガトーショコラが出来上がりますよ。」


「(!?)」


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