第4章 悪魔と、死神と、切り裂きジャック
ゆっくりと出てきたマダム・レッドに、落ち着きを取り戻したシェルが1つ、また1つと2人がこの一連の犯行の犯人であることに間違いないという証拠を突きつける。
「残念ね…シエル…私の可愛い甥っ子。私の姉さんの子…」
その内容はアンダーテイカーが握っていたモノとピッタリ一致していた。
一瞬しおらしくうなだれたようにも見えたが、シエルの追求にマダム・レッドは開き直ったかのように怒鳴り声を上げた。
「だけど…今度は譲らないわ!!!」
「(!!!)」
ギュオオオン!!ギュン!ギュン!!
それと同時に異様な機械音が鳴り響く。
チェーンソーの様に見えるが、あれはもしかして。
「(あれって…まさか…)」
「デスサイズ、だね。まったく青二才が…せっかくのデスサイズをあんな煩い姿にカスタマイズしちゃうなんて…まったく分かってないねぇ。」
やれやれと呆れた口調で呑気に喋っているが、そうしてる間にもグレルはそのデスサイズをシエルに向けて大きく振りかぶってしまった。
「(シエルさん!!……え?!……え?!)」
マリアンヌが目を背けようと思った瞬間、まさかのセバスチャンがシエルを庇うようにデスサイズの刃を白刃取りで受け止めた。
「セバスちゃん、アタシね、赤が好きなの!髪も服も口紅も赤が1番好き。だから返り血で真っ赤になってたマダム・レッドに惚れこんじゃったってワケ♡」
「………クッ!!」
「(ええ?セバスチャンさん?!)」
あんな見るからに危険そうなモノ、素手で受け止めるなんてとても人間のできる技ではない。
「(いったいどういう事…?)」
「マリアンヌはマダム・レッドの執事君の正体には気づいてたみたいだけど、伯爵の執事君の正体には気付いてなかったみたいだね〜」
「(え?!)」
「伯爵の執事君はね、……悪魔だよ。」
悪魔……マリアンヌは死神であるアンダーテイカーと共にいるため、今さら悪魔というものを否定することはしなかったが、こんな身近に、しかもなんの気配も感じさせずに存在していたことに驚いた。
「(そ、そんな…ことって…)」