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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第4章 悪魔と、死神と、切り裂きジャック






──その夜──



「マリアンヌ…もう引き返せないよ?準備はいいんだね?」


「(は、はい…)」


どうやらマリアンヌはアンダーテイカーと一緒に、事件の真相を見に行くことにした様だ。

殺人現場など好んで見たくはなかったが、こんなにたくさんの人間を殺めた犯人の動機がどうしても気なったのだ。

マリアンヌはいつもの黒い服にフード付きのケープを羽織り深く被った。


「それじゃあ、行くよ……」


大鎌を出したアンダーテイカーにしがみつき、きゅっと目を閉じる。その大鎌をひとふりすれば、景色は一瞬で変わってしまった。


「(こ、ここは…?)」


「今のところリストの最後になっているメアリ・ケリーの長屋の近くだ。あそこを見てごらん。」


マリアンヌ達は次の被害者になるであろう娼婦の長屋から少し離れた建物の屋根に、身を潜めながら様子を伺っていた。


「(あ、あれは、シエルさんに、セバスチャンさん!)」


アンダーテイカーから指さされた方を見るとそこに立ってるのはシエルとセバスチャンだった。


「ヒッヒッ、やっぱり伯爵もココに目星をつけて張っていたみたいだね〜ここは袋小路になっているからね。犯人が入れるのも出れるのも1箇所だけさ…まぁ、犯人が人間ならの話だけどね〜。」


「(!?)」





「キャアアアアアアアアアア…!!!!」



アンダーテイカーの言葉に引っかかりを感じたが、その時長屋の中から突然断末魔のような悲鳴が聞こえてきた。


見ていた限り誰も侵入した形跡がない。

袋小路で出入り口は1箇所。

シエルもセバスチャンもマリアンヌもアンダーテイカーもこの一帯は見ていたはずだ。

見逃すはずなどない。



マリアンヌは長屋の扉まで一目散に駆けつけた2人から目が離せなかった。


勢いよく押し開かれた扉から、ゆらゆらと不気味な人影がでてくる。

その姿は返り血を浴びて赤黒く染まっている。


その出で立ち、そのメガネ、その髪型、マリアンヌには見覚えがあった…




「(あの人は…まさか………)」



降り始めた雨に濡れた拳をマリアンヌは思わずグッと握りしめてしまった。






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