第4章 悪魔と、死神と、切り裂きジャック
そして翌朝…
──切り裂きジャック再び現る!被害者はアニー・チャップマン、またしても娼婦が犠牲に──
新聞の一面に大きく載っている記事を大急ぎでアンダーテイカーの元へ持っていき見せた。
「(アンダーテイカーさん!これ!これ!見てください!)」
「なんだい?そんなに慌てて…」
マリアンヌから差し出された新聞に目を通すと、アンダーテイカーは面白そうに笑いだした。
「ヒッヒッヒッ、やっぱりね〜」
この様子だと、やはりアンダーテイカーは何か知っていたのだ。
「(ドルイット子爵は犯人ではなかった…アンダーテイカーさんは、何か知ってるんですね…)」
すると、アンダーテイカーはシエルには見せなかった紙を取り出すと、ペンを使って1本、また1本と線を引き出した。
「(そ、それは…)」
その紙には殺された娼婦の名前がぎっしりと書いてある。
彼女達にはまだ共通点があったのだ。
子宮を取られたという以外の“ある”共通点が……
「マリアンヌ〜、見てごらん。」
アンダーテイカーの手元を見れば、次々と娼婦の名前が消されていく。その順番は“ある”共通点と、自分達の手で遺体処理をした順番とピタリと一致する。
「アニー・チャップマン…この子も時期にヤードがここに連れてくるだろうね…そうなると、どうなるかな〜?」
「(どうなるか……ですか?)」
ドキドキと心拍数を上げながら、その紙に書かれた娼婦の名前をみると、消されていない名前は1つだけだった。
「マリアンヌ…見に行くかい?小生と一緒に切り裂きジャック事件の真相を…」
アンダーテイカーは腰を曲げてマリアンヌの耳元まで屈むと、囁くように呟いた。
「(あの…私は……)」
──バタン──
「(あ……!)」
しかし、答えを出す前にタイミング悪く店の扉が開きヤードの面々が、アンダーテイカーの予想通りに被害者アニー・チャップマンの遺体を持ってやって来てしまった。
仕方がないが、話の続きは遺体処理の後になりそうだ。
マリアンヌは急いで準備に取りかかった。