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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第3章 「DNH企画」死神とハニーソルト



髪を洗い終え、マリアンヌの長い髪をクルクルと頭上で団子状にすると、器用に櫛を横からさして固定した。


長い髪がまとめ上げられると、普段は服により隠れている背中があらわになる。

アンダーテイカーは石鹸を泡立てたタオルで丁寧にマリアンヌの身体を洗い始めた。


「……背中は痛まないかい?」


「(はい、大丈夫です…)」


マリアンヌの身体には背中から腰にかけて、また二の腕の後ろ側にいたるまで、無数の傷跡がある。


鋭利な刃物で切られた跡や、焼きゴテを押し当てられたような火傷跡、また反対に切れ味の悪くなった刃物で無理矢理傷付けられたような跡がところ狭しと残っていた。

そのなかでも縫合処置を施された傷跡はわずかで、殆どが放置されたままの状態で自然治癒に任せたものだった。

特に、治りかけた傷跡の上からさらに重ねる様に何度もつけられた刃物傷の跡が時折引きつるように痛む。

傷口は塞がってはいるが、この時折痛む傷跡が後遺症の様に残り、マリアンヌの脳内からはアンダーテイカーと出会う以前の記憶が消えることは決してなかった。



そんな想いもアンダーテイカーは全て知っている。
自分と出会う前の記憶が鮮明に覚えてれば覚えている程アンダーテイカーには都合が良かった為、特に問題などなかった。



「マリアンヌ、流すから熱かったら言っておくれ。」



マリアンヌの身体を洗い終えシャワーで流すと堪らなく愛しくなり後ろから抱きしめる。

さて、今朝から燻らせていたこの熱をどう発散させようかと抱きしめたまま悪巧みをしていると、振り返ったマリアンヌからまさかの申し出をされた。

「(あ、あの!今度は私が洗いますので、どうぞ座って下さい!!)」


このままではアンダーテイカーの欲望のままにされてしまうと一抹の不安がよぎったマリアンヌは、先手を打つように立ち上がると、アンダーテイカーをバスチェアに座らせた。


「そうかい?それじゃあお願いしちゃおうかな?」


マリアンヌは特に何か考えがあったわけではないが、とりあえずこの作戦で時間を稼ぐことにした。



吉と出るか凶とでるかはまだ分からない…










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