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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第3章 「DNH企画」死神とハニーソルト



試着室でマリアンヌは胸元を抑えて縮こまってしまった。

抑えた手の下には目覚めの情事で付けられたであろう無数の赤い跡。
いつもの事であるが、激しく求められてしまえばいつ付けらたなんて気づくことなどできない。

着替えた時はまだカーテンを開けていなかったので、マリアンヌは今ここで服を脱いでニナに見られるまで気が付かなかったのだ。

鬼の形相で飛び出していったニナはアンダーテイカーに掴みかかり何やら怒鳴り声を上げている。

しかし、当のアンダーテイカーは極上の笑いとばかりにゲラゲラと笑い出す始末だ。


「何がそんなにおかしいのよ!腹立つわね!」


「イ〜ヒッヒッヒッ!!ニナは面白いね!小生の思惑通りに怒ってくれちゃうからさ……イッヒッヒッ!!」


「仕立て屋に行く日にマリアンヌをあんな姿にしてくるなんて、どんだけ神経おかしくした変態なのよ!!」


すると、アンダーテイカーは立ち上がると、ニナの耳元でそっと囁いてみせた。


「あれはねニナ…小生が心からマリアンヌを愛してるという証なのさ。マリアンヌの白い肌にはよく似合ってて素敵だろ〜?」


「…………。」


──心から愛しているという証──


パシッと手を払いのけると、思い出すのはマリアンヌがアンダーテイカーと一緒に初めてこの店にやって来た日のことだ。

“愛してる証”、そんな言葉を聞かされてしまえばニナにはそれ以上返す言葉が見つからなかった。


「フンッ、変態行為も大概にしてちょうだい!今度無理矢理あんな姿で連れてきたら研ぎたての裁ちバサミで切り刻んで豚のエサにしてやるからね💢」


「ほ〜、それは恐ろしい。くわばらくわばら……イッヒッヒッ!」

わざとらしく肩をすくめると、またいつもの椅子に腰掛けマリアンヌが出てくるのを待った。







「ニナさん……?」

戻ってきたニナにマリアンヌは不安げにその顔を見つめるが、ニナがマリアンヌを見る目はいつもの優しい表情だった。


「もうまったく、マリアンヌはこんなに美人でトレビアンなのに、どうしてあんな変態葬儀屋がいいのかしら?お洒落して夜会にでも出たらたちまち注目の的だと思うのに。」



ニナはブツブツと小言をいいながら採寸を再開していく。

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