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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第3章 「DNH企画」死神とハニーソルト




「今日は小生の負けだよ、お化粧してあげるからじっとしているんだよ。」


根負けしたとばかりに化粧箱の蓋をあけると、あれこれ化粧品を見繕い始めた。


「(ニナさんがびっくりするくらい可愛くしてくださいね!)」


「ヒッヒッ、マリアンヌは今のままで十分可愛いし、ニナだってそう思ってるさ。」


アンダーテイカーは慣れた手付きで化粧を施していく。死体にするような死化粧ではなく、淡い色合いでマリアンヌの魅力を最大限に引き出すように慎重に筆を動かしていく。


「ほら、出来たよ〜。」


鏡を見た自分の変身ぶりに満足をすると、マリアンヌはキラキラの笑顔で一度アンダーテイカーに抱きつくと、キッチンまで走っていってしまった。


少し遅れてキッチンの扉をあければ、無音の鼻歌を歌いながらお湯を紅茶のポットに注いでいる。

ダイニングテーブルには既に朝食の骨型クッキーが綺麗な皿に盛られており、アンダーテイカーはイスにかけながら紅茶が出てくるのを待った。


しかし、アンダーテイカー用に紅茶を冷ましている間に、出発の時間になってしまったのか、店の外で馬車が止まる音がした。


「(!?)」


時計を確認し、少し慌てた様子で店の外に出ると、扉の前で馬車が止まっている。

身振り手振りで今準備をしてくる旨を伝えると、再び店の中に戻り、マリアンヌはキッチンの扉をあけた。


「(アンダーテイカーさん!馬車がきちゃいました!もう出ましょう!)」


「えぇ〜?!もうそんな時間かい?」


ポリポリとクッキーをつまみながら席を立とうとしないアンダーテイカーに焦れたマリアンヌは、店の方から愛用している大きな黒い帽子を持ってきてボンッと頭に被せてやると、グイグイと腕を引っ張り出した。


「(早く、早くしてください!)」


「ヒッヒッ、今日のマリアンヌはせっかちだね〜そんなに急がなくてもニナはいなくならないから大丈夫さ。」


しかし、朝日のもとで早く早くと急かすマリアンヌは予想以上に可愛かった。初めて着るピンクのワンピースもとても似合っていて、今しがた欲望を吐き出したばかりの部分が再び熱を上げそうになる。


やれやれとばかりに帽子を深くかぶり直すと、マリアンヌに続いてアンダーテイカーも馬車に乗り込んだ。


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