第3章 「DNH企画」死神とハニーソルト
息を上げながら明らかに不機嫌な態度をあらわにするが
「あれ〜?怒っちゃったかな?怒った顔も、小生愛してるよ。」
そんな事を悪びれた様子もなく言われてしまえば、返す言葉も出てこなくなってしまう。
手早く着替えを終わらせたアンダーテイカーの服を掴むと、マリアンヌは部屋を出て行こうとする彼の手にある事を伝えた。
「(アンダーテイカーさん!服も、帽子も、リボンも全部この間プレゼントしてくれたピンクの物にして下さい!)」
この間のプレゼントとは、バレンタインの時に贈った服の事だろう。
葬儀や仕事の依頼以外に出かける機会が無かったため、あのピンクの服を着れるのは今日が初めてだった。
マリアンヌもそれを楽しみにしていたに違いない。
「ちゃ〜んと分かってるよ」
アンダーテイカーはマリアンヌの頭をポンポンと撫でると、服を取りに一旦部屋を出て行った。
よくよく考えれば、ここで暮らすようになってからマリアンヌは初めて黒以外の服を着る。
以前は色どころか満足な衣服も与えられない様な環境にいた為、今まで着ていた黒い服に不満はなかったが、マリアンヌも年頃といえば年頃の女の子だ。
オシャレな色とデザインの服を着て出かけられるなど
、この上なくテンションが上がってしまうのは致し方ない。
アンダーテイカーが服を持って戻ってくる頃にはすっかり機嫌を直していたマリアンヌは早速ワンピースに袖を通した。
採寸もしていないのにサイズはぴったりだ。
背中のボタンをしめてやりながらアンダーテイカーはしたり顔をしている。
「ヒッヒッ、サイズはピッタリだね〜。」
すると、カーテンを開けたマリアンヌは、急かすようにヘアメイクの催促をしてきた。
「(ニナさんの所にいくんです!可愛く編み込んで巻いてください!あと、あと、今日はお化粧もしたいです!お化粧!してください!)」
アンダーテイカーの手を取り必死におねだりをするマリアンヌの姿は非常に貴重だ。
しばらくその姿を見ていたかったが、また機嫌を損ねられては困るため、アンダーテイカーはドレッサーにマリアンヌを座らせると、素直に要望に答えてやった。